「信じます、君の可能性 伝えます、学ぶ心」  フェニックス アカデミー

今月のコラム 文⁄塾長 大山重憲

不退転

新年度を迎えて心機一転、新たな目標設定をし、夢を抱いてスタートを切った多くの塾生に「諦めない」 ことの大切さを教えてくれる一編のエピソードを紹介します。

ラファエル・ソラーノはダイヤモンドを探しに山に入っていきました。いくら川底の石を拾ってもただの石ころでダイヤモンドはありません。自信を無くし肉体的にも疲れきってしまいました。ソラーノは二人の仲間に言いました。

「もうたくさんだ。やめよう。これ以上続けても何の意味もないよ。どうだい、この小石は。これでおそらく俺は99万9999個の小石を拾い上げたことになる。でも、これまで一つとしてダイヤモンドは無かった。もう一つ拾えば100万個だ。でも、それで何になるっていうんだ。俺はやめて帰る。」

1942年のことです。三人の男たちはダイヤモンドを目当てに何か月もベネズエラの川で過ごしてきたのです。体を前にかがめて小石を集め、一つでもダイヤモンドの痕跡が見つからないかと期待し、祈りながら働いていました。服はボロボロになり、かぶっていた帽子はズタズタでした。

ソラーノが「もうたくさんだ。やめよう。」と言い出すまで、彼らはやめることを真剣に考えたことはありませんでした。仲間の一人がむっつりと、

「おい、もう一つ拾って100万個にしろよ。」と言いました。

「わかったよ。」とソラーノは答えて、かがみこんで小石の山へ手を伸ばし、一つ引き寄せました。それは鳥の卵程の大きさでした。

「ほら、これが最後だよ。」とソラーノが言いました。でも、その小石はずっしりと重く、ソラーノの手にのしかかっています。ソラーノはじっと石を見つめました。

「これは何だ。ダイヤモンドだ!」

ソラーノは大声を上げました。「リバレーター」と名付けられたそのダイヤモンドは、今までに発見された中で最大で最も純度の高いものでした。

ソラーノはお金以外は何の報酬も要らなかったでしょう。しかし、私は、彼が金銭を超える幸福を見つけたに違いないと思っています。彼は何か月も前に、自分の進む道を決めたのです。彼は決めたことをやり遂げただけでなく、失敗と先が見えない不透明さをものともせずにやり遂げたのです。諦めなかったのです。

成功と失敗の差は、多くの場合、スタートを誤ったからではなく、誤ったところでやめてしまうから生じるのです。勝っている時にゲームをやめるのは愚かなことでしょう。でも、負けている時にやめるのはもっと愚かなことです。あともう少し続ける勇気が必要でしょう。

人は、負けて終わるのではありません。諦めた時にすべてが終わるのです。成功するために必要なのは幸運でも、ゲームを中断することでもなく、失敗しても諦めないことだと知ることです。

「我々のほとんどが抱えている問題は、辛い時に辛い努力をすることをやめてしまうことだ」と言われています。

一つだけ教えておこう。

君はこれから何度もつまづく。

でもそのたびに立ち直る強さも持ってるんだよ。(45年後ののび太)

TOPへ戻る